東洋医学による痛みの講座(五回シリーズ) その4

腰痛を緩和する漢方療法

腰痛は、かつては老人の病気のように思われていましたが、最近では若い人にも増えています。 運動する量が激減しているのがその理由です。いわゆる腰痛症は別として、 椎間板ヘルニアなどは、いわば物理的な変化によって起きるものですから、漢方の内服が奏効するとは一見考えにくい場合がありますが、実際には漢方で良転する場合がしばしばあります。
<42歳女子> 患者は色のやや浅黒い、肉のしまりのよい体格である。主訴は腰痛で、発病以来2年を経過して、あらゆる手当てを受けたが治らないばかりか、このごろではびっこをひいてやっと歩いているという。それに仰臥しても、左側を下にして寝ても腰が痛むので、いつも右側を下にして寝ているという。大便は便秘して快通せず、月経は近年になって量が減少し、月経の前にはとくに腰痛がはなはだしいという。腰部をみると、腰椎の左側が掌を当てたほどの広さにわたって隆起しており、この部を按圧すると痛むという。そこで桃核承気湯を与えたところ、大便は快通し、月経もまた量が多くなり 一ヵ月後には仰臥できるようになり、三ヵ月後には腰部の隆起もなくなり、起居動作が楽にできるようになった。この桃核承気湯は打撲後の疼痛を治す効があり、打撲後の腰痛にも用いられる。(『症候による漢方治療の実際』より)